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特性インピーダンスを測ろう

普段、特性インピーダンス50Ωとか75Ωというのをよく耳にします。
ところで特性インピーダンスとはいったい何なのでしょうか。

…専門的なことは他のホームページや文献にお任せして…(^^;
素人的に書きます。まじめにやっても混乱するだけですので。


ここに、アマチュア無線では良く用いられる50Ωの同軸ケーブルがあります。
50Ωとはいったい何のことでしょうか。Ωって抵抗の単位だけど、テスターで
抵抗レンジにして測れば測れる??


いえ、残念ながら測れません。
試しに芯線と芯線の抵抗値を測ってみてください。…0Ωですね。
では芯線と編線の抵抗値を測ってみると…∞Ω(Over.Flow)。
当然、編線と編線の抵抗値は0Ω。これは、直流の世界では別に
不思議なことではありませんよね。

ということで、テスターで抵抗値を測るように特性インピーダンスを
測ることは不可能であるということが分かりました。

同軸ケーブルは直流も流せますが、もともとMHzオーダーの高周波
を流すためのケーブルなのです。高周波になると抵抗Rだけではなく、
インダクタンス(コイル成分L)やキャパシタンス(コンデンサ成分C)も
考慮しなければなりません。

以下が、同軸ケーブルの等価回路です。



このように抵抗とコイルが直列に、コンデンサが並列に入った構造に
なっています。

テスターで芯線と芯線を測ったときは、直流なのでLに対するリアクタンス
XLは0Ω、抵抗値はほぼ0Ωのため、0Ωとなりました。またCに対する
リアクタンスXcは∞Ωなので、芯線と編線間は完全に絶縁された状態
であったことがわかります。(下記の式に、周波数f = 0Hzを代入)



次に直流の変わりに高周波を流してみたらどうなるでしょうか。今度は
f ≠ 0Hzですから、XLが0Ωや、Xcが∞Ωみたいに単純にはいきません。

ここで文献を頼ると、特性インピーダンスZoとは以下の式で与えられます。
ただし、等価回路の抵抗R = 0であることを前提にした近似式です。
芯線は銅で出来ているのでR = 0とおいてもそこそこ近似が出来ます。



上式より、同軸ケーブルのLとCを測れば特性インピーダンスZoが求められる
ことがわかります。
理論は置いといて、とりあえず測ってみましょう!





A端

片側(A端)です。芯線と編線にそれぞれワニ口クリップで
LCRメータ(HIOKI 3535)に接続します。





B端 オープン

C = 457.2pF (測定周波数1MHz)

まずC測定です。もう片側(B端)をオープンにした状態でCを測ります。このLCRメータは1度に4つのパラメータが読めますが、
ここではL、C、R、θを表示しています。Cs、Ls、Rsの「s」は等価直列…のことですがここでは気にしないでください。

さてCはいくらでしょう…457.2pFですね。Lも表示されていて意味が不明だと思いますが、ここでθに着目
すると約-90°(電圧が電流より90°遅れている)ですのでコンデンサ成分Csだけを読めばよいことがわかります。
機種によってはLsに負号を付けて表示してくれるのもあるようです。

※注意:私が初めてこのLCRメータを使ったときの勘違い。LとCが両方とも表示できてしまうので、てっきり
     LとCが直列に入った回路のLとCを両方とも測れるのかと思っていました。実際はLとCは相殺される
     ため、LかCのどちらかリアクタンスの大きい方、しかも小さい方を差し引いた量しか測ることは出来ません
     Lが大きいかCが大きいかを知るには位相θを見て判断します。(θが正:L、θが負:C)





B端 ショート

L = 1.183uH (測定周波数1MHz)

次にLの測定です。かな~りいい加減ですが半田を使ってB端をショートして測りました。
Lは1.183μH。θが正なのでLを見ればよいですね。



・特性インピーダンスの計算

LとCを測りましたので特性インピーダンスを計算してみると、



ということで確かにZo=50Ωの同軸ケーブルであることが分かりました。
(測定対象はフジクラの5D-2V、約3mでした)

詳しいことは文献を参考にしていただきたいのですが、等価回路の
LとCはそれぞれ同軸の長さに比例します。つまり、長くなればLもCも
大きくなり、短くなればLもCも小さくなるため、Zoは常に一定の50Ω
を保ちます。だから好きな長さに切って使うことが出来るのですね。


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