第一級総合無線通信士(一総通)  「TOP」


2007/7月期に一陸技を取得して2年。せっかく科目免除があるので、試しに
2009/9月期一総通を受験してみました。この資格は参考書が皆無といっていい
ほど少なく、せいぜい過去問しか手に入らないためweb上あるいくつか体験記を
大変参考にさせていただきました。ここに皆様の受験の参考になればと思い、
他のサイトの補足程度ですが自分なりに思ったことを書いてみたいとおもいます。




■無線工学基礎、無線工学A、無線工学B
一陸技を取得していたので3科目免除。7科目中3科目はとても大きいです。
一総通を目指される方はまず一陸技の取得を強くお勧めします。一陸技は
参考書も出回っていますので、一総通に比べ比較的勉強はしやすいと思います。




■英語
完全無勉強、ぶっつけ本番。英検準2級~2級くらいの英語力があれば特に勉強は
必要なさそうなレベルでした。

・英会話
「英会話」というと実際に会話をするのでは・・・と思ってしまいますが、単なるリスニング
です。英語の試験が始まるとまず英会話(リスニング)の試験が始まります。問題形式
としては最初に質問文が読まれ、それに対する適切な答えを選択します。質問文は計3回
読まれ、はじめの2回はゆっくり、最後の1回は普通のスピードで読まれます。TOEICを
受けたことがある方はわかるかと思いますが、普通の英語の試験は1回しか読んでくれない
ので、3回も読んでくれるなんて、なんと親切な試験なんだと思いました(笑)

・英語筆記
普通のマークシートの試験です。英検準2級レベル?


■地理
試験前日から過去問題の一夜漬け!結構似たような問題が出ますので、過去問だけで
いけると思います。過去問はweb検索で見つかると思いますので、最低過去5年分は
ゲットしておきましょう。




■法規
試験1週間前から勉強開始。最初、一陸技の法規の教科書で勉強を始めましたが、
試験を受けてみて、過去問をやっておくだけで十分だということに気づきました。過去問を
数年分解いていくとわかりますが、地理同様ほとんど同じような問題が出てきます。ただ、
穴埋めの場所が変わっていたりするので答えを覚えるのではなく、全体を覚えるようにする
といいと思います。試験的には一陸技の法規の上位に位置するはずですが、一陸技で
出題されるエンファシス、プリエンファシスのあたりは一総通では出題されたことが無いようです。




■電気通信術
最難関の電気通信術ですが、たまたま和文モールスを知っていたこともあり、あまり苦労せず
練習に取り掛かることができました。少し聞き始めたのは試験2ヶ月前くらい、実際には1ヶ月
前くらいから本気で練習に取り組みました。和文はこれから・・・という方は最低半年くらい前
から符号を覚えないと厳しいかもしれません。

●モールス受信
モールスの受信ですが、受信よりも紙に書くほうが数倍大変です。はじめは真っ白な紙に
ひたすらEEEEEEEEE・・・みたいに文字を速く書く練習をしました。普通は小文字か筆記体
を使うことが多いかと思いますが、今までブロック体大文字で来たのでそのまま突き進みました。


・使用ソフト
受信練習に使用したモールス練習ソフトはCWTW proとA1A Breakerの2ソフトです。
CWTW proは130字/分くらい、A1A Breaker は和文で85字/分、欧文で110字/分くらいで
9割方書き取れるようにひたすら筆記練習をしました。練習で使ったボールペンの消費量は
1本/2週間・・・x4週。練習のしすぎで試験当日は腱鞘炎状態となり痛みとの戦いでした。
試験官の方は鉛筆のほうが訂正が効くからいいよみたいな事をおっしゃっていましたが、
ボールペンでいいですか?と聞いたら、お好きにどうぞという回答でした。


・受信用紙
ある程度モールスが聞けて書けるようになるまでは市販のレポート用紙にひたすら筆記練習、
2週間前くらいからは本番に近いフォーマットで練習しました。本番に近いフォーマットの練習
用紙は買ったほうが早いかもしれませんが、受信用紙のサンプルをアップロードしているサイト
から画像を落としてきて、文字部をペイントで消して印刷して使用しました(邪道)。実際のサイズ
はB5ですが、一回り大きいA4サイズで練習をしたほうが速記が難しく練習のしがいがあります。
レポート用紙などに筆記する場合も、2行で1文字くらいのなるべく大きな文字で筆記したほうが
よいです。なお受信用紙はこちらで手に入るようです。http://www.dsk.or.jp/shop/35.html


・電報形式を覚える
これは絶対に覚えておきたいです。
和文、欧文ともに「2通」送られてくるので注意。

和文の場合は「・・・-・」が流れて1通目が終わったら少し間をおいて
② ・-・-・- が流れてくるので、③以降同様に受信をします。

欧文の場合は「・-・-・」が流れ1通目が終わったら少し間をおいて
② 「NR+発信番号」が流れてくるので、③以降同様に受信をします。

モールス練習用CDの説明から抜粋&加筆修正。
◆和文電報形式による場合(一総通、二総通、三総通、又は国内電信陸特の場合)
① ・・・・ ・-・  ・・・・ ・-・
② ・-・-・-
③ 種類(あるときに限る。多分無いかな?)
④ 字数
⑤ 発信局(発信局を番号で表すときは、「ハツ」を前置するものとする。)
・・・「ハツ」がくるか神経を集中
⑥ 発信番号(発信局を番号で表すときは、「タナ」を前置するものとする。)
⑦ 受付時刻(時と分を・-・-・-によって区分するとともに数字を略体により送信するものとする。)
  「例:午前:10:24 → セ  ・-  - [区切り]  ・・-  ・・・・-」
  「例:午後:3:58 → コ  ・・・- [区切り]  ・・・・・  -・・」

 
・・ ・・

 筆記は上のような感じに。いきなり略体は聞き取れない場合はとりあえず「-・・→ホ」と書いておいて
 試験が終了したときにすかさず「ホ→八(8)」に訂正すればよいかもしれません。

⑧ -・・-・・(特別取扱のあるときに限る。多分無いかな?)
⑨ 特別取扱(あるときに限る。多分無いかな?)
⑩ ・・-・・-(局内心得のあるときに限る。多分無いかな?)
⑪ 局内心得(あるときに限る。多分無いかな?)

⑫ ・-・-・-
⑬ 名あて
⑭ -・・---
⑮ 本文(60字を超えるときは、60字目ごとの字の次に送信する・・--・・の次ぎに約5秒の間隔を置くものとする。)
⑯ ・・・-・


◆欧文電報形式による場合(一総通、二総通又は三総通の場合)
① ・・・・ ・-・  ・・・・ ・-・
② 発信番号(「NR」を前置するものとする。)
③ 種類(あるときに限る。多分無いかな?)
④ 発信局
⑤ 語数
⑥ 受付日(あるときに限る。)
⑦ 受付時刻(一総通、二総通の場合24時間制)
  どれが受付日か時刻か良くわからないが、流れてきたとおり書けばOK。「-・・-・(スラッシュ/)」で
  区切られているのでそのまま書く。和文のように略体ではないので簡単です。
⑧ 特記事項(あるときに限る。多分無いかな?)
⑨ -・・・-
⑩ 名あて
⑪ -・・・-
⑫ 本文
⑬ -・・・-(署名のあるときに限る。あるかも!)
⑭ 署名(あるときに限る。あるかも!)
署名を打ってくることがあるので注意!
  特に記入する欄は無いので、本文の欄に書けばよいと思います。
⑮ ・-・-・


以下、所感です。

□はじめに
本番の用紙を使って練習があります。まじめに書かなくてもいいので、一応トライして
感覚をつかんでみてください。

□和文普通語
とにかく額表が難しいです。どういう順に送られてくるか、タナ、ハツは来るかを意識します。
本文に入ってしまえばあとはいつもどおり。数字は漢数字推奨のようですが普通の数字でも
問題ないようです。私は一応漢数字を練習しました。

□欧文暗語
欧文は額表が簡単です。打ってきたとおりに記入すればOK。数字も来るかと思いきや
全部アルファベットでした。

□欧文普通語
欧文普通語はEやI、Tなどが多いので非常に筆記が大変です。邪道かもしれませんが、
THE、THIS、・・・TION、・・・INGなど良く出てくる単語や部分は一塊で覚えて、一気に書くように
しました。これも数字は出ませんでした。


●モールス送信
ほとんど練習なし。アマチュアでエレキーをパドル操作できる方ならほとんど練習は不要です。
(とはいえ最低120字/分くらいは打てるようになってください)ただし、上記の電報形式の通り
打たなければいけませんので電報形式は覚える必要があります。

□使用した電鍵
まず皆様一番心配なのは電鍵でしょう。他の方の体験記を読むと大抵の方はカツミの
エレキー&お好みのパドルを使用されているようですが、私は自作キットのエレキー&
いつも使用しているGHDのパドルで試験に挑みました。自作で試験受けて大丈夫?という
不安はありましたが、試験官の方にうかがうと全く問題ないとのこと。レコーダーには
もともと備え付けの縦振れ電鍵が接続されていますので、縦振れ電鍵の端子に適当なワニ口
クリップでエレキーを接続できるようにあらかじめ用意しておくとスムーズです。今回は電池
駆動ですが100V電源も普通に取らせてもらえます。


遊びでエレキーにミニパドルを付けてみました。
前面にちゃんとしたパドルも接続できます。



以下、所感です。

□はじめに
送信用オシレータからヘッドフォン経由でサイドトーンを聞くことができますが、
片側からしか音が聞こえませんでした。オシレータ出力はモノラルなのに、
ヘッドホンがステレオだったからだと思います。私は気にせずそのままやって
しまいましたが、気になる方はφ3.5mmのステレオ→モノラル変換プラグを
持っていったほうが良いかもしれません。

□送信試験開始
まず受験番号と氏名を打つように言われます。氏名は和文で打てばよいです。
受験番号はゼロが多く、アマチュアの癖でO(オー)と打ってしまいそうになり、いきなり
訂正連発しました。この場所は採点に影響は無いのですが、試験本番より汚い符号に
なってしまい恥ずかしかったです。

送信ミスがあったので、ここで送信速度を下げました。速くしてミス率が上がるくらいならちょっと
遅いかな?くらいがちょうどいいです。すでにレコーダーは回りっぱなしなので、氏名を打ち
終わったら好きなタイミングで試験を開始できます。

□和文普通語
受信同様額表を覚えているかが勝負。時刻はセ/コ&略号なのでちょっと気を使いますが、
それ以外は書いてあるとおり打てばOKです。

□欧文暗語
□欧文普通語
ともに書いてあるやつをただ打つだけ。どちらか片方に署名があったのですが、意味がわからず
未送信にしてしまいました。具体的には紙の一番右下に「=ODA」と書いてあったのですが、
「-・・・- ODA」と打てばいいだけのようです。未送信は大して減点にならないので大勢に影響なし。


●電話受話
アマチュア無線をやっている方でしたら練習は不要でしょう。アルファ、ブラボー、チャーリー・・・と
5文字刻みで流れてきますので、普通にABCDE FGHIJ・・・と記入するだけです。しゃべっている
人は日本人でした。


●電話送話
受話と全く逆。紙に5文字刻みでアルファベットが書かれているので、アルファ、ブラボー、チャーリー・・・
としゃべるだけです。これも練習は不要でした。ただ、アマチュアで非正規なフォネティイックコードを使って
いる場合は、正規のコードに気をつけたほうが良いと思います。(たとえばFをフロリダ、Wをワシントンなど
は×)


●直接印刷電信
仰々しい名前がついていますが、単なるタイピングです。Windowsのノートパソコンが用意されます
のでディスプレイに写っている文字をキーボードで打つだけです。スペースやエンターも文字として
カウントされます。押し間違えても「ブー」という音がして先へ進まないだけですからあせらずゆっくり
入力してみてください。これも練習不要でした。




■結果
2回で合格できればいいかな?ということで電気通信術と法規しか勉強しませんでしたが、地理、英語が
思いのほか簡単で1回で合格することができました。筆記試験のレベルで言えば一陸技のほうが難しかった
というのが印象です。これから受けられる方は、科目が多いからといって棄権せず、とりあえず受けてみた
ほうがよいかもしれません。ただ電気通信術もいれたトータル難易度で見れば一総通>>一陸技です
ので、電気通信術(特にモールス電信受信)だけは相当な努力が必要かと思います。。




■最後に
社会人の方がこの試験を受けるときに何よりも心配なのは試験日程ではないでしょうか?
筆記だけで3日、電気通信術でもう1日なんていったら会社勤めの方にはかなりの勇気がいります。
今回は無線工学が一陸技のおかげで免除になっていたため、筆記2日、そのうち1日に電気通信術を
いれていただき2日の休みで済みました。電気通信術は試験要綱を見るとどこで実施されるか
わからずかなり不安でしたが、ちゃんと筆記試験がある日に合わせてくれるようで助かりました。
あまり何日も続けて休めない方は、筆記試験は想像以上に簡単ですので、まず電気通信術だけを
とりにいき、ついでに筆記も取れたら、っていうのもありかもしれませんね。



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