Qマッチ 「TOP」
アンテナのスタック法
次へ>> 主にV、UHF帯の八木アンテナは2列にスタックしたり、大型のものでは4列2段、4列4段などと同一のアンテナを何本も並べてゲインを稼ぐことが多いと思います。アンテナをスタックするにはマッチングをする必要がありますが、市販のアンテナはマッチングセクションが付属していたりするため、ユーザーは何も考えずに接続するだけで使用が出来て便利です。 自分でアンテナを作る場合は自分でマッチングをする必要がありますが、お手軽で最もよく用いられていると思われる「Qマッチ」という方法についてスミスチャートを用いて説明したいと思います。スミスチャートが分からない方は同軸トラップの項で簡単に説明していますので先にそちらをご覧ください。 動作なんて知らなくていいから早く使いたい、という方は各ページ一番上の 太枠で囲まれた方法で接続すれば使用することは可能です。 2つのアンテナをスタックする(2列 or 2段) 2スタックの例(その1) 1.アンテナとTコネクタを長さ1/4λ'の75Ω系同軸(5C-2Vなど)で接続する。 2.RIGとTコネクタの間は適当な長さの50Ω系同軸(8D-FBなど)で接続して完成。 ※ここでは真空中の波長λに短縮率をかけたものをλ'としています。同軸トラップの項参照。 短縮率はケーブルの種類により異なるので注意が必要です。一般に5D-2Vは0.67くらいです。 Qマッチとは Quarter Matchのことで、1/4λ'の伝送路(同軸)でマッチングを取ることから来ています。 動作の解説 それでは、どのような原理で動作しているのかを見ていきましょう。 まずA点のインピーダンスをスミスチャートで求めてみます。 (左右対称なのでB点も、A点と同じインピーダンスになります) 75Ω系の同軸に50Ωの負荷(アンテナ)がつながっていますから、アンテナの正規化インピーダンスは50Ωを 同軸の特性インピーダンス75Ωで割って求めます。(50Ω系ではないので注意) z=0.67をスミスチャートにプロットし、1を中心に時計回りに半周した位置がA点の正規化インピーダンスz'です。 (長さ1/4λ'の同軸を通過するとインピーダンスはスミスチャート上を時計回りに半周回ります) スミスチャートよりA点の正規化インピーダンスz'=1.5ですので、これに特性インピーダンス75Ωを かけるとインピーダンスZ'が求まります。 Z'= z' ・Z0= 1.5 x 75Ω= 112.5Ω よって、A点、B点のインピーダンスは共に112.5Ωであることが分かります。 つまり等価的に下図のように見えるということです。 Tコネクタには112.5Ωのインピーダンスが並列につながっていますので、C点で見ると 112.5Ω/2=56.25Ωに見えるわけです。これは完全に50Ωではないもののほぼ 妥協できる値といえます。 56.25ΩはSWR=1.125にあたり、実用上は完璧なマッチング状態といえるでしょう。 (50Ω系の同軸の長さにかかわらずSWRは一定となります。) 以上、簡単にまとめてみると、 ・75Ω、1/4λ'の同軸でインピーダンスを変換(約100Ω) ・Tコネクタで並列に接続することでインピーダンスを半分にする ・半分にしたインピーダンスがほぼ50Ωになっている ・なので50Ω系の同軸をつなげれば使える アンテナを自作される方はシングルで満足せず、ぜひスタックに挑戦してくださいhi ちなみに、1/4λ'の75Ω系同軸ですが、3倍の3/4λ'、5倍の5/4λ'、・・・でもOKです。 3/4λ'ではスミスチャート上を1周半、5/4λ'では2周半して、結局1/4λ'のときと 同じインピーダンスになるからです。 1/4λ'では短すぎてスタックできない場合は3倍の3/4λ'などで作ると良いかもしれません。 また、アンテナから50Ω系同軸を適当な長さ延長してM-M中継コネクタでつないでも良い と思います。 ・・・webを眺めていたら、違う方法でマッチングを取る例があるようですね。 次のはスタック間隔を自由に取ることができます。次のページで紹介します。 次へ>> |