Qマッチ 「TOP」
アンテナのスタック法
<<前へ 次へ>> 2つのアンテナをスタックする(2列 or 2段) 前のページと違う方法でマッチングを取ることもできるようですので、紹介します。 アンテナからTコネクタまでは50Ω同軸(任意長)でつなげるので、スタック幅が 大きいときはこちらのほうが楽かもしれません。 2スタックの例(その2) 1.アンテナとTコネクタを適当な長さの50Ω系同軸(5D-2Vなど)で接続します。 2つのアンテナ間に位相差を持たせないときは、両方同じ長さで統一してください。 位相差給電するときは、位相を遅らせたい側の同軸をそれだけ(例えば1/4λ'で90°) 長くして接続します。 2.次にTコネクタ(C点)と中継コネクタ(D点)を長さ1/4λ'の50Ω系同軸(5D-2Vなど) で接続します。 3.次に中継コネクタ(D点)と中継コネクタ(E点)を長さ1/4λ'の75Ω系同軸(5C-2Vなど) で接続します。 4.最後に中継コネクタ(E点)とRIG間は適当な長さの50Ω系同軸(5D-2Vなど)でつなげば 完成です。 ※ここでは真空中の波長λに短縮率をかけたものをλ'としています。同軸トラップの項参照。 短縮率はケーブルの種類により異なるので注意が必要です。一般に5D-2Vは0.67くらいです。 Qマッチとは Quarter Matchのことで、1/4λ'の伝送路(同軸)でマッチングを取ることから来ています。 動作の解説 アンテナ側からRIGの方へ向かってインピーダンスの変化を追っていきます。 まず、A点、B点のインピーダンスは50Ωの負荷(アンテナ)に50Ω系の同軸をつないでいるので 長さによってインピーダンスは変わらず、共に50Ωとなります。 C点のインピーダンスは、A点、B点のインピーダンスが並列に入ったものなので、 50Ω / 2 = 25Ωとなります。 ここからが本題です。1/4λ'の同軸でインピーダンスを変化させていく 様子をスミスチャートを使ってみていきましょう。 ・C-D間のインピーダンスの変化 まずC点のインピーダンスZ(25Ω)を同軸ケーブルの特性インピーダンスZ0(50Ω)で 割って正規化インピーダンスzを求めます。 z = Z / Z0 = 25Ω / 50Ω = 0.5 z=0.5をスミスチャート上にプロットし、zを時計回りに180°回転させた 位置がD点の正規化インピーダンスz’になります。(インピーダンスは同軸長 1/4λ'で半周、1/2λ'でチャート上を一周します。) スミスチャートより、D点の正規化インピーダンスz’=2.0、これに同軸の 特性インピーダンスZ0 = 50ΩをかけるとインピーダンスZ'が求まります。 Z' = z' ・ Z0 = 2.0 x 50Ω = 100Ω 最後にD-E間のインピーダンスの変化を見てみましょう。 ・D-E間のインピーダンスの変化 まずD点のインピーダンスZ(100Ω)を同軸ケーブルの特性インピーダンスZ0(75Ω)で 割って正規化インピーダンスzを求めます。 z = Z / Z0 = 100Ω / 75Ω = 1.333 z=1.333をスミスチャート上にプロットし、先ほどと同様にzを時計回りに 180°回転させた位置がE点の正規化インピーダンスz’になります。 スミスチャートより、E点の正規化インピーダンスz’=0.75、これに同軸の 特性インピーダンスZ0 = 75ΩをかけるとインピーダンスZ'が求まります。 Z' = z' ・ Z0 = 0.75 x 75Ω = 56.25Ω よって、E点のインピーダンスは56.25Ωとなり、SWR=1.125でほぼ マッチングが取れました。これは前のページの結果と同じです。 わざわざ50Ω系の同軸を使わず75Ω系を途中で使う理由は、50Ω系に対して 「中心をずらして」インピーダンスを回転させ、より50Ωに近づけるため、と言えそうです。 <<前へ 次へ>> |